黒書院の六兵衛 上 下

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黒書院の六兵衛 上 下
浅田 次郎/著


二百六十年の政にまもられてきた世がなしくずしに変わる時。開城前夜の江戸城に官軍の先遣隊長として送り込まれた尾張徳川家の徒組頭が見たのは、宿直部屋に居座る御書院番士だった。司令塔の西郷隆盛は、腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。外は上野の彰義隊と官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い、一触即発の危機。悶着など起こそうものなら、江戸は戦になる。この謎の旗本、いったい何者なのか―。




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まもなく天朝様が江戸城に玉体を運ばれる。御書院番士はそれでも無言で居座り続けた。常の勤番所から、松の御廊下の奥へ詰席を格上げしながら。品格ある挙措と堂々たる威風は、幕末という時代が多くの侍に忘れさせた武士道の権化に映る。名も勲も金もいらぬ。すべてをなげうって武士の良心を体現した成り上がり者の希みとは、いったい何なのか―。


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